AI研究の現状と日本のAI戦略
2021-02-24

AI研究の現状と日本のAI戦略

いつの世も技術の発展は科学研究の飛躍的な進歩を後押ししてきました。AI(人工知能)の進歩も見逃せません。近年は世界中、あらゆる分野でAIの導入が進んでいますが、昨年のConsultancy.asiaの記事(記事へのリンクは後述)に、日本企業のAI導入が米中より抜きん出ていると掲載されていました。とはいえ、一方では日本全体のIT化の遅れの深刻さが指摘されています。今回は、日本政府のAI戦略も含めてAI研究の現状を探ってみました。AIツールの浸透が学術研究を後押し今やAIツールは研究活動に不可欠な存在となっています。研究者自身が膨大なデータを分析するために四苦八苦するのではなく、AIを含めた新しい

サイテーションインデックス(引用検索)SCIE
2021-01-04

サイテーションインデックス(引用検索)SCIE

クラリベイトの提供するScience Citation Index(SCI)とScience Citation Index Expanded(SCIE)は同じなのか違うのか?何が違うのか?という疑問が寄せられたので、この2つについて見てみます。SCIとSCIEScience Citation Index(SCI)は、もともとInstitute for Scientific Information (ISI)によって作成され、現在はクラリベイト(旧トムソン・ロイター)によって管理されている科学技術分野のサイテーションインデックス(引用索引)で、学術界の実績評価基準として活用されてきました。 Sc

盗用・剽窃チェックツール iThenticate を使いこなそう
2020-12-28

盗用・剽窃チェックツール iThenticate を使いこなそう

今回は特別に盗用・剽窃チェックツールiThenticate(アイセンティケイト)の専門チームによる解説をお届けします。iThenticateは、影響力の高い学術雑誌(ジャーナル)の93%をカバーしており、その数は約7千万本の購読契約、1.3億本以上のオープンアクセスで公開されている学術論文や著作物に及びます(2020年12月時点)。さらに700億以上の現在公開中およびアーカイブ済のウェブページも網羅する膨大なデータベースと照合することで、盗用や剽窃の可能性を検証するオンラインツールです。研究論文や書籍だけでなく、ネット上の情報まで網羅的に検索することで、投稿論文の独自性を検証することができます

学術ジャーナルの検索データベースを使いこなそう
2020-12-23

学術ジャーナルの検索データベースを使いこなそう

共同学術研究や分野をまたいだ研究が増えるにつれ、世界中で行われている重要な研究が迅速に利用できるようになることが求められる中、学術データベースの利便性への要求が高まってきました。論文や学術雑誌(ジャーナル)を探したい研究者は効率よく検索したいと思いますし、研究論文を発表しようとしている研究者は、認知度の高いジャーナル、あるいは自分の研究内容に最適なジャーナルを探し出したいと思っています。主要なデータベースにはインデックス(索引)が付与され、検索しやすいようになっていますが、インデックスの付け方はジャーナルの信頼性、拡散力、評価にとって重要であり、最終的にはそのジャーナルの影響度を示すIF(イン

コロナ禍での研究再開に向けたチェックリスト
2020-11-30

コロナ禍での研究再開に向けたチェックリスト

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは、学術界に予期せぬ大混乱をもたらし、学術出版システムや実験室における作業プロセスは大きな変更を余儀なくされました。世界は徐々にこの状態に適応しつつあり、研究活動も再開され始めています。しかし、感染を防ぐために物理的な距離をとらなければならないならない中、研究者の間の競争力を保ちながら、研究の生産性を維持することについて懸念が高まっている状況です。研究および研究室の管理に関するあらゆる物事を喫緊に再考する必要性に迫られていると言っても過言ではありません。COVID-19パンデミックの状況下でも研究室での作業を続けていますか?もしくは

コロナ禍でも学術研究を続けるために
2020-06-21

コロナ禍でも学術研究を続けるために

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、世界の多くの国ではロックダウン(都市封鎖)や外出禁止となりました。国によって多少の差がありますが、多くの大学や研究機関が閉鎖され、研究者は予定していた調査や実験を継続できず、多くの学会も開催できなくなりました。感染拡大が収まって移動制限が緩和されたとしても社会的距離またはソーシャルディスタンス(Social distance)を取るように求められる中、どのように学術研究を進めればよいのでしょうか?ソーシャルディスタンスを保ちながら研究データ収集するロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economic

研究と出版に eラーニング を役立てよう
2020-03-18

研究と出版に eラーニング を役立てよう

博士課程に入ると、たくさんの新しい課題に直面します。博士課程のコースは難しい上に、研究や論文執筆も進めなければなりません。学術論文の執筆と出版には、書く技術、学術的な文章を書く能力、首尾よく論文を発表するノウハウが必要ですが、博士課程以前にはこの技能を磨く機会があまりありませんでした。研究の指導にあたる教授や教官から学ぶこともできますが、さらに深く学ぶために、自分で独自の取組をすることも考えてみてはいかがでしょうか。eラーニングを活用することも一つの方法です。eラーニングとはeラーニングとは、インターネットを利用する学習形態ですが、今では、さまざまな教材やコンテンツが揃っています。通常は、LM

SNSは被引用数増加に効果があるか?
2020-02-03

SNSは被引用数増加に効果があるか?

世界のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のユーザー数と普及率はとどまるところを知らず、2019年の世界全体のSNSの利用者数は34億8,000万人を突破、前年比9%増となっています。日本のSNS利用者数も、2018年末に7,523万人、2019年末に7,764万人、2020年に7,937万人と見込まれており、着実に増加しています。もはやコミニケーションツールとして欠かせなくなっているSNSですが、自撮写真や、観光やグルメの写真のアップ、友人同士のおしゃべりの道具として利用する以外にも、情報を効果的に共有する有力な道具としての利用法もあります。 学術界でもSNSが情報発信、情報共用

研究室で効率化をアップするコツ
2019-12-03

研究室で効率化をアップするコツ

研究活動は忙しいものです。日々新しいことに取り組みつつ研究を進め、期限通りに成果をまとめ、研究資金提供者への報告も行わなければなりません。特に研究を助成金に頼っている場合、研究成果をきちんと提出しなければ次の助成金獲得にも影響するため、計画的に研究プロジェクトを進めることは必須です。そのためには、効率的に研究をすることが求められるので、スケジュール(時間)やリソースをうまく管理できるように努めるべきでしょう。今回は、納期を守り、ワーク・ライフ・バランスを保つためにも有用な時間およびリソースの管理、実験時間の短縮につながるコツをご紹介します。有能な研究責任者(PI)の効率化術研究責任者(PI)は

剽窃盗用チェックツールはどこまで信頼できるか
2019-11-20

剽窃盗用チェックツールはどこまで信頼できるか

学術研究における誠実性(Academic integrity)は重要です。研究者は、科学研究の発展を促進する独自性のある発想や研究成果を示すことで学術界に貢献することが求められていますが、同時にその研究が信頼に足るものであることを示すため、不正を疑われる行為は避けなければなりません。研究不正にはいろいろありますが、対策の一環としてできることのひとつに、学術論文の剽窃・盗用などを事前に検知することが挙げられ、盗用・剽窃検出ツールを導入する学術雑誌(ジャーナル)が増えています。盗用・剽窃チェック(plagiarism detection)ツールの過剰依存は問題盗用・剽窃チェックツールとは、投稿論文

GRIMとSPRITE:論文のエラーを探すツール
2019-11-08

GRIMとSPRITE:論文のエラーを探すツール

あなたが優秀な若手研究員で、ある研究に日夜取り組んでいるとします。作業の合間にちょっと一息と、自分と同じ研究分野の最新動向を検索し始めると、自分の研究によく似た論文に関する記事が目に留まりますが、その論文は研究不正を理由に取り下げられたとのこと。そのような記事を見てしまうと、自分の研究は大丈夫だろうか?同様に論文が却下される事態をどうすれば避けられるのか?などと不安になってしまうことでしょう。研究不正と疑われることを防ぐ対応策のひとつとして、自分のデータはもちろん、引用する出版済み論文のデータの正確性についても確認しておくことが不可欠です。科学研究データの信頼性が揺らぐことで生じる「再現性の危

研究の品質管理の重要性
2019-10-28

研究の品質管理の重要性

品質管理により、科学研究の良し悪しに違いが生じます。では、研究における品質管理とは何でしょうか?答えは簡単です。研究室における「規準」を監視・維持することです。ここでは研究における品質管理がいかに重要かを見直してみましょう。品質管理に関わる基準品質管理とは、研究室内のあらゆる問題を見つけ出し、これによる影響を弱めて許容誤差範囲内に収めるよう、修正や調整、あるいは改善を行うことです。また、研究方法に一貫性があるようにしたり、実験結果の正確性を確保したりすることも含まれます。学術研究の品質には、正確性、信頼性、安全性、有効性など、さまざまな意味が含まれます。品質管理(Quality Control

定性的研究におけるバイアスの避け方
2019-08-26

定性的研究におけるバイアスの避け方

研究者が自分にとって望ましい結果を得ようとして、研究におけるバイアス(偏り)が生じてしまうことがあります。多くの場合、研究者は自分の考えや作業にバイアスが入り込んでいることを自覚していません。自覚の有無にかかわらず、研究におけるバイアスの存在は研究の公平性に大きな影響を与え、研究成果の価値を損なう危険性があります。 今回は研究者同士の会話から定性的研究におけるバイアスの問題を考えます。定性的研究におけるバイアスの問題「バイアスは、定量的研究よりも定性的研究でより重大な問題だと言われます。」 「どうしてですか?」 「定性的研究のほうが、研究者の経験と判断にかかっている要素が大きいからです。それに

調査研究におけるサンプリングの重要性
2019-08-19

調査研究におけるサンプリングの重要性

研究を進めるためには具体的な計画が不可欠です。研究の対象、測定・評価方法、評価期間など決めなければならないことは多々あります。研究計画は慎重に検討しておく必要があります。同様に重要なのは、研究における調査対象の抽出( サンプリング )です。大方の調査では、限られた調査対象から得られる回答(データ)をもとに全体を推定します。調査の対象となる特性を持つ全体を母集団、母集団の性質を忠実に反映するように母集団から抽出される部分を標本(サンプル)と呼びます。サンプル数が多いほど、母集団の性質をより確実に反映する確率が高くなりますが、調査結果の信頼性を高めるにはサンプルの数とともにランダム性も大事な要素で

情報過多社会を生きるためのコツ
2019-08-14

情報過多社会を生きるためのコツ

インターネットやSNS(Twitter、Facebookなどのソーシャルネットワーキングサービス)の普及に伴い、私たちは知りたい情報を簡単に手にいれ、興味ある話題について最新の動向を常に把握することができるようになりました。一方で、洪水のように流れ込む大量の情報を前に、多くの人が振り回され、集中力を削がれているのも事実です。自分の処理能力を超える量の情報に直面する、いわゆる 情報過多 の状態に置かれているのです。スマートフォンを持っている人なら誰でも身に覚えがあると思いますが、ひとたび検索をし始めるとキリがなく、仕事の生産性が上がるどころか下がってしまうこともあります。このような情報過多の状況

革新的な研究に特許調査は欠くべからず
2019-08-09

革新的な研究に特許調査は欠くべからず

研究者は誰でも、自分の研究を重要で、革新的で、独自性が高いものにしたいと望んでいます。既に他の研究者が取り組んでいる内容と重複する研究を行うことは、貴重な時間や研究費の無駄使いです。研究成果の特許出願を念頭においている場合は特に、既存の研究や特許申請状況の事前調査を欠かすべきではありません。特許調査を行わなかった失敗例特許調査を行なわなかったために失敗した実例証言を見てみます。私は、一流の研究者で構成されたチームで、最先端技術の研究を進めていました。このチームで独創的な発明をしたと思ったのです。ところが検索したところ、別の人がすでに特許を取得していた内容であることが判明しました。研究につぎ込ん

研究プロジェクトの要、進捗報告
2019-07-24

研究プロジェクトの要、進捗報告

研究に限らず、何事においても進捗管理・報告を行うことは作業を進める上で不可欠です。単独で研究を進めていたとしても、研究業務は、所属する研究組織全体の中のひとつの歯車であることを忘れてはいけません。上位の管理者にとって、研究資金提供者への報告を行うためにも、組織内で並行して進められている数々の研究プロジェクトの進捗を把握することが必要なのです。では、研究者としてどのような進捗報告が求められているのか、どうすればよい進捗報告が書けるかを考えてみましょう。目標設定の5ポイント「SMART」まず、作業を進めるためには目標を設定しておく必要があります。その際にどのような目標を立てるのかの助けとなるのが「

データ利用可能性ステートメント(DAS)の重要性
2019-06-26

データ利用可能性ステートメント(DAS)の重要性

公開された研究論文の根拠となっているデータの公開は、学術研究にとって不可欠なのか?そもそも、データは公開されるべきなのか?論文のオンライン化が広がるにつれ、研究データのオープン化に関する議論も活発化しています。知識の共有を促進することにより新たな知見を生み出し、科学の発展に大いに寄与することができる――との考え方を背景に、学術界でもデータ共有と利用促進が進められており、Data Availability Statement(データ利用可能性ステートメント、以下DAS)が注目されています。今回は、このDASについてご紹介します。データ利用可能性ステートメント(DAS)とはDASとは公開された研究

アンケート調査を行うときの要点
2019-06-17

アンケート調査を行うときの要点

ほとんどの調査研究では、データの分析が必要です。アンケート調査は、必要な情報を収集するために有効な方法です。例えば、薬物治療の効果を調べるための臨床研究や、人々がアレルギーにどのように対処しているかを知るための統計分析などに利用されます。こうしたアンケート調査によって新しい事象が見つかり、新規の研究に繋がり、ひいては新たな解決策が開発されることになるかもしれません。アンケート調査を行うときに留意すべきこと適切な科学的調査のためのアンケートを作成するには、次の点に留意することが必要です。1. 調査のテーマと収集すべきデータの項目を明確にすること 2. 明瞭で、一貫性を備えた調査様式を準備すること

目指せ!効率的なタイムマネジメント
2018-11-26

目指せ!効率的なタイムマネジメント

1日24時間。誰もが限られた時間をいかに効率的に使うかに頭を悩ませていることでしょう。かのベストセラー『7つの習慣』(1996年、スティーブン・R・コヴィー、キングベアー出版)でも「緊急度」と「重要度」を指標としたタイムマネジメントの重要性が提唱されています。そして、タイムマネジメントが重要なのは研究者も同じ。雇用契約や研究助成金の支給期間に限りがある場合には一層、時間は貴重です。今回は、限られた時間をいかに有効に使うか、効率的なタイムマネジメントについて考えてみます。■ タイムマネジメントは何故必要か研究者は、実験、レポート作成、論文執筆、出版、助成金申請といった研究関連業務に加え、学生や後

研究者に役立つオンラインツール 10選
2018-11-07

研究者に役立つオンラインツール 10選

締め切りに追われ、複数のタスクをこなし、自分の研究分野の最新状況をチェックし、査読者とやりとりし、何かとやらなければならないことに埋もれて動きがとれなくなる――研究者とは、得てして多忙なものです。そんな時にこそ「お役立ちツール」の出番です。技術の進歩により、時間のかかる作業や手間のかかる作業を、簡単に処理することができるようになっています。オンライン上で入手することができる多様な「お役立ちツール」の中には研究者に役立つものもありますので、利用してみてはどうでしょうか。今回は、研究者の生産性を向上させるのに役立つお手軽な オンラインツール を紹介します。ここで紹介したお役立ちツールや他のソフトウ

130万人が利用 インフォグラフィック作成ツールVisme
2018-08-10

130万人が利用 インフォグラフィック作成ツールVisme

「ポスター発表でも口頭発表でも、わかりやすく説明することが重要」――。研究発表をテーマにした記事でよく見られる表現です。「わかりやすさ」の定義はさまざまですが、パッと目に飛び込む印象的なインフォグラフィック(視覚情報)を用いることも一案です。発表内容に興味を持ってもらえれば、資料の中身をじっくり読む、あるいは話を熱心に聞いてくれるでしょうし、研究内容をよく理解してくれることにもつながるからです。そこで紹介するのが「Visme」です。これは、プレゼンテーション資料やレポート、インフォグラフィックなどを簡単に作成できる便利なオンライングラフィック作成ツールです。テンプレートが豊富に揃っているので、

論文をわかりやすくする 画像作成 の10のポイント
2018-06-04

論文をわかりやすくする 画像作成 の10のポイント

学術研究論文に画像や図表を掲載することは、研究成果を簡潔かつ視覚的な方法で伝えるためにたいへん有用です。ほとんどの学術ジャーナルは、画像や図表の掲載方法について投稿規定内で指定しています。論文を作成する際には、その指示に従う必要があります。 例えば、画像や図表を挿入するときには、本文中で必ずその図表を言及しておく必要があります。そのために図表に番号を付けておくのですが、この番号も論文全体の通し番号にするか、章ごとにするか、統一しておかなければなりません。また、自分で作成した図表とは別に、必要に応じて他の文献から図表を引用する場合には、その出典情報(論文名、著者名、出版年、掲載されているページな

第18回 学術界におけるカラーユニバーサルデザインの動向と展望
2016-07-28

第18回 学術界におけるカラーユニバーサルデザインの動向と展望

より多くの人に伝わりやすく・わかりやすい、色覚バリアフリーなスライドを作るために覚えておきたい「CUD: カラーユニバーサルデザイン」について迫る連載シリーズ。最終回の今回は、東京慈恵会医科大学解剖学講座教授、CUDO: Color Universal Design Organization 副理事長岡部正隆(おかべ まさたか)氏へのインタビューです。色のバリアフリープレゼンテーション法について早くから国内外の学術界に対して情報発信してきた岡部氏に、最近の動向と今後の展望を伺いました。学術界の外に動きの主体が広がった ■岡部先生と伊藤啓(いとう けい)先生(東京大学分子生物学研究所准教授、CU