論文での動植物の学名の記載方法
2021-04-26

論文での動植物の学名の記載方法

動植物を使用した研究を行い、それを論文にするときには、世界共通の名前である学名で記載する必要があります。読者の誰にでも理解されるという点では便利なのですが、ほとんどの学名はラテン語で記されるため、かなりやっかいなものでもあります。研究で使った動植物を特定しつつ正確に示すため、ここでは動植物の名前にしぼって学名の書き方とその際の注意を記します。学名とは通常、動植物には、一般的に使われている通称名とは別にそれぞれの国の言語でつけられた名前(日本であれば和名/標準和名)がついていますが、通称名でも和名でも他の国では通じません。そのため論文には学名で記す必要があります。 マグロを例にとると 一般的には

日本の研究者は再び世界と肩を並べることが出来るか?
2021-04-21

日本の研究者は再び世界と肩を並べることが出来るか?

「日本の研究は世界トップレベル」「アメリカに次ぐ世界第2位」だと思っていませんか? 確かにかつては「トップレベル」と評されたこともありました。しかし今、学術研究における日本の地位は急激に下降しています。そう聞くと博士課程に進学することを躊躇したり、研究者になるのを諦めたりしたくなるかもしれませんが、明るい話題もあるので悲観する必要はありません。世界における日本の研究レベルまず日本の国際的研究レベルは現在どのくらいなのでしょうか。引用数の高い論文の発表数、特にトップ10%補正論文数(論文の被引用数が上位10%に入る論文の抽出後、実数で論文数の10分の1となるように補正を加えた論文の数)がどのくら

研究論文の背景の書き方
2021-04-14

研究論文の背景の書き方

優れた研究論文にはさまざまな要素がありますが、読者にとって最も重要なものの1つは研究の背景、つまり研究論文を通して議論された情報のコンテクストです。研究論文の背景には、その分野の主要な研究と、関連する研究についての説明も含めて書き記すので、先行研究を自分の研究の根拠としたり、先行研究に反論したりする場合には特に重要です。そこで今回は、効果的な研究論文の背景の書き方と背景とイントロダクションの違いをご紹介します。研究の背景で、問題提起を行い、理論的根拠や研究上課題について議論します。それを研究テーマのイントロダクションにつなげ、研究題材に関する論理的な流れを作ります。つまり、研究を行う理由を読者

日本のAI医療 これからの課題と最新事例【2021年版】
2021-03-31

日本のAI医療 これからの課題と最新事例【2021年版】

自動翻訳や検索エンジンの最適化、自動車の自動運転や安全運転システム、お掃除ロボットまで、AI(人工知能)は生活の中に入り込み、その役割を広げつつあります。医学、医療・ヘルスケア分野も例外ではありません。医療業界でAI技術がどのように利用されているのか、日本のAI医療の状況について探ってみました。医療AIへの期待機械学習・深層学習技術の発展にともない、ニューラルネットワークによるデータの分析と学習を重ねることでAIは同時の判断基準を構築、分類できるようになりました。医療AIとは、このAIの仕組みを医療現場に取り込んだものです。医療現場では、診断、治療法や薬剤の選択など多くの判断が求められるため、

日本の研究費に関する事情と未来
2021-03-17

日本の研究費に関する事情と未来

研究に欠かせないのは資金です。研究費なくしては学術研究を続けることはできません。研究費の獲得は個人研究者にとっても、大学・研究機関にとっても常に頭を悩ませることでしょう。日本の研究費を取り巻く状況といくつかの研究資金を助成する公募情報を紹介します。国の研究費事情2021年1月、世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンドの創設費用5000億円を含む令和2年度(20年度)の第3次補正予算が成立しました。そして、3月5日には、2016~20年度の科学技術関係予算が総額28.6兆円(グリーンイノベーション基金事業および「10億円規模の大学ファンド」を含む額)に達し、この5年間の政府研究開発投資額

論文のインパクトを上げる!サプリメンタルデータの活用法
2021-03-15

論文のインパクトを上げる!サプリメンタルデータの活用法

録画版を見るサプリメンタルデータとは、フォーマットや紙面の都合により論文の本文には掲載できないものの、当該論文にとって有用な図、写真、生データの表、動画という補足資料のことで、査読の対象にもなります。本文とは別の箇所に掲載されるため、目に留まりやすい工夫がなされているか、読みやすいフォーマットになっているか、再生した時に見やすくなっているか、なども重要なポイントになってきます。サプリメンタルデータとして掲載した動画を、ツイッターなどソーシャルメディアから発信する研究者もおり、論文のインパクトを上げたり、アウトリーチの可能性を広げたりするための素材としても有効利用できます。今回のウェビナーでは、

Paper Mill:学術出版に新たな論文不正
2021-03-15

Paper Mill:学術出版に新たな論文不正

Paper Millという言葉を耳にしたことはありますか?ここで話題にするのは、製紙工場ではなく、もっとタチの悪いものです。学術出版におけるさまざまな不正行為が摘発されていますが、「論文工場」とも揶揄される「論文代筆業者(Paper Mill)」による論文の量産に対する疑惑が浮上しています。学術研究の出版履歴は、研究者としてのキャリアアップ、テニュア(終身雇用資格)獲得、さらに将来の研究プロジェクトへの資金調達にも多大な影響を及ぼします。少しでも多くの論文を出版しなければとのプレッシャーが、研究者を架空の研究論文を購入して出版するといった不正な行動に追い込んでしまうことがあります。データの改ざ

論文の公表は焦らず慎重に
2021-03-10

論文の公表は焦らず慎重に

近年、学術論文の公開スピードが以前よりも速まっています。学術出版における電子化や、オープンアクセスの拡大、プレプリントサーバーの利用などに後押しされ、研究者は新しい研究結果を少しでも早く公開しようとしています。重要な成果は、研究者間で共有されたり、一般公開されて共有されたりしていますが、特に新型コロナウイルス感染症に関する研究では、一刻も早く研究結果を発表することがこの感染症の治療・感染防止に役立つと同時に、研究の重複を防いで効率化を図ることにもつながるため、公開が急がれています。 研究論文の出版を急ぎたい理由は人それぞれでしょう。短期間で出版リストを充実させるチャンスと捉える研究者や、現状で

AI研究の現状と日本のAI戦略
2021-02-23

AI研究の現状と日本のAI戦略

いつの世も技術の発展は科学研究の飛躍的な進歩を後押ししてきました。AI(人工知能)の進歩も見逃せません。近年は世界中、あらゆる分野でAIの導入が進んでいますが、昨年のConsultancy.asiaの記事(記事へのリンクは後述)に、日本企業のAI導入が米中より抜きん出ていると掲載されていました。とはいえ、一方では日本全体のIT化の遅れの深刻さが指摘されています。今回は、日本政府のAI戦略も含めてAI研究の現状を探ってみました。AIツールの浸透が学術研究を後押し今やAIツールは研究活動に不可欠な存在となっています。研究者自身が膨大なデータを分析するために四苦八苦するのではなく、AIを含めた新しい

科学ジャーナルのオープンアクセス最新動向と留意点
2021-02-22

科学ジャーナルのオープンアクセス最新動向と留意点

2021年1月15日、Science各誌の発行元である米国科学振興協会(AAAS)が、一部の資金提供者が支援した研究の成果については直ちにかつ自由にアクセスできるようにするように公開することを求めていることに対し、論文著者が応じられる方法を提供すると発表しました。この新しい オープンアクセス (OA)方針に基づけば、著者は、ほぼ最終段階にある原稿、あるいは有料購読者しかアクセスできないScience誌に掲載された査読済の原稿であっても、誰もがアクセス可能なオンラインリポジトリに掲載することができることになります。プランSオープンアクセス(OA)と出版社のせめぎ合い新方針の下、Science各誌

続報 日本学術会議の戦いは続く
2021-02-17

続報 日本学術会議の戦いは続く

国会議論のコロナ対策答弁の中で管首相が「専門家の意見を聞いて」と言い続けていたのとは相反する政権の姿勢を揶揄する声もありますが、2021年も日本学術会議をめぐる論争は続いています。管首相は、脱炭素化やデジタル社会の実現などに向けた研究開発を後押しすることを所信表明で掲げています。この方向に向けた動きのひとつとして、1月19日に政府の統合イノベーション戦略推進会議(議長・加藤勝信官房長官)が開催され、日本の新たな科学技術・イノベーション基本計画となる「第6期科学技術・イノベーション基本計画」の答申の素案が決定されました。ここには、研究開発への投資をこれから2025年度までの5年間で総額30兆円、

科学研究におけるデジタル革新とデータ駆動型研究
2021-02-15

科学研究におけるデジタル革新とデータ駆動型研究

昨今のデジタル革新には目覚ましいものがあり、ウィズコロナの時代においては欠かせないものとなりつつあります。デジタル革新、あるいはデジタルトランスフォーメーション(DX)と一言で言っても、そこには、データベースやネットワークなどの情報基盤、スーパーコンピューター(スパコン)など多様な要素が含まれており、さらにこれらが組み合わって日々進歩し続けています。新型コロナウイルス感染症対策として、スパコン「富岳」を用いたくしゃみなどの飛沫拡散シミュレーションの結果をニュースなどで見かけた方は多いと思いますが、スパコンは治療薬候補の絞り込みなどにも使用されています。このように、新しい技術を活用した科学研究の

Wiley:不確実な学術出版の未来を見据えて
2021-02-10

Wiley:不確実な学術出版の未来を見据えて

今回、紹介するのは世界有数の学術出版社ワイリー(Wiley)の識者によるゲスト投稿です。ワイリーは、科学、医学、技術、物理学、社会科学、さらに人文科学まで広範な分野にわたり出版活動を展開しています。オンライン投稿・査読システムも取り入れながら、学術研究関係者を対象とした各種ソリューション、役立つ情報、教育マテリアル、などさまざまなサービスを提供しています。本記事では、学術出版業界で今まさに起こっていることと、今後の展望についてご紹介いただきました。創造力の小さなひらめきこそが人生に何かをもたらすのである!常に未来を予想しておくことはできませんが、2つのことは分かっています。1つ目は、未来に到達

日本政府が10兆円規模の大学基金を創設
2021-02-07

日本政府が10兆円規模の大学基金を創設

2020年12月8日、日本政府が10兆円規模の大学基金を創設し、大学の国際競争力の強化および、若手研究者の人材育成、研究施設の整備支援に充てる方針を発表しました。経済対策の一環として日本の大学の研究力の抜本的強化を狙ったものです。国の財源からだけでなく、参加する大学や民間の資金を活用することも検討するとし、文部科学省所管の国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が外部機関に資金の運用を委託する予定です。国内外の債権や株式などへの投資を行うことで運用額を段階的に増やし、3年後を目処に10兆円規模を目指すとしています。この支援は、世界的な研究を行う大学を対象としたものですが、具体的な選定方法は今

2021年 日本の科学技術の発展をかけて声を挙げよう
2021-02-01

2021年 日本の科学技術の発展をかけて声を挙げよう

日本が「科学技術立国」と言われていたのはいつの日か――近年は、論文発表数では中国に遅れをとり、世界大学ランキングでは日本の大学の存在感が薄れていると指摘されるなど、日本の基礎研究力の低下が問題視されています。管総理は、社会のデジタル化(デジタルトランスフォーメーション)を政権の最重要課題としていますが、その基礎となるのは科学技術力です。2021年、日本の科学技術はどうなっていくのでしょうか。日本の科学技術の現状日本は世界トップクラスの科学技術力を誇ってきました。2000年以降、17年間で17人のノーベル賞受賞者を輩出してきた実績もあります。しかし、2000年代に入ると国の研究開発力を示す指標の

否定的な結果をジャーナルに投稿する/しない?
2021-01-26

否定的な結果をジャーナルに投稿する/しない?

「失敗は成功の元」と言われますが、多くの技術研究は、初期段階での失敗を乗り越えて進められてきました。曖昧さのない仮説に基づいてよく考えられた実験であっても、結論がでなかったり、否定的な結果になったりすることがあります。にもかかわらず、研究コミュニティは肯定的な結果、つまり成功事例だけを快く受け入れがちです。Daniele Fanelliという研究者が、さまざまな分野の論文を掲載している学術雑誌(ジャーナル)の4000以上の論文を分析した結果、肯定的な結果が出版されている傾向が強く示されました。これでは、科学的客観性がリスクにさらされているとも言えます。良い結果でなければ出版できないとなれば、科

これだけは気をつけたい!論文の倫理的配慮
2021-01-14

これだけは気をつけたい!論文の倫理的配慮

受講する優れた研究の条件とは何でしょう?独創性?新規性?もちろんこれらも大事ですが、最も大切かつ基本的なことは研究倫理の順守です。透明性の高い研究を行うためには、様々な倫理的ジレンマを乗り越えていかなくてはなりません。エナゴでは、2021年1月28日に、論文を発表する際に留意すべき倫理的配慮に関するウェビナーを開催いたしました。盗用、研究不正、利益相反の隠蔽といった主要な倫理課題をはじめ、研究者としての信頼を損なわないために是非おさえておきたいポイントを詳しく解説しています。また、定められた倫理規定をどのように守ればいいのか、実践的なアドバイスもお届けしています。ぜひ録画版をご視聴ください。今

バイデン次期政権へ:科学技術政策はどう変わるか
2021-01-06

バイデン次期政権へ:科学技術政策はどう変わるか

白熱していた2020年の米大統領選ですが、現地時間12月14日に選挙人による投票でバイデン氏が過半数を獲得し、正式に当選が確定しました。これを受けたバイデン氏が「民主主義が勝利した」と強調したことからもこの大統領選挙の混乱ぶりを表していますが、この大統領選では学術コミュニティーが政治に踏み込むという前例のない動きを示したことにも注目されました。学術雑誌の意思表明学術雑誌Scientific Americanは9月15日付けの記事で(発刊後にその後の情報を踏まえて10月1日付けで編集されている)、バイデン候補を支持すると発表。同誌が特定の候補を支持したのは175年の歴史上初めてのことでした。トラ

サイテーションインデックス(引用検索)SCIE
2021-01-04

サイテーションインデックス(引用検索)SCIE

クラリベイトの提供するScience Citation Index(SCI)とScience Citation Index Expanded(SCIE)は同じなのか違うのか?何が違うのか?という疑問が寄せられたので、この2つについて見てみます。SCIとSCIEScience Citation Index(SCI)は、もともとInstitute for Scientific Information (ISI)によって作成され、現在はクラリベイト(旧トムソン・ロイター)によって管理されている科学技術分野のサイテーションインデックス(引用索引)で、学術界の実績評価基準として活用されてきました。 Sc

略語と頭字語について押さえておくべきこと
2020-12-28

略語と頭字語について押さえておくべきこと

最近では、日本語にも文章の先頭のローマ字や数字を組み合わせた略語「KY語」が蔓延していますが、分かる人にはすぐ分かるとは言え、分からない人にはまったく意味が伝わりません。そして、略語や頭字語を使いこなすには慣れが必要です。略語(abbreviation)と頭字語(acronym)は、両方とも特定の語の一部を省略あるいは簡略にしたものですが、略語とは、ある語の一部を何らかの方法で省略または簡略したもの。頭字語は、略語の一種で、一連の単語の最初の文字をつなげて作られたものです。すべての頭字語は略語ですが、反対にすべての略語が頭字語とは言えません。 略語や頭字語をうまく使えば、原稿を読みやすく、かつ

盗用・剽窃チェックツール iThenticate を使いこなそう
2020-12-28

盗用・剽窃チェックツール iThenticate を使いこなそう

今回は特別に盗用・剽窃チェックツールiThenticate(アイセンティケイト)の専門チームによる解説をお届けします。iThenticateは、影響力の高い学術雑誌(ジャーナル)の93%をカバーしており、その数は約7千万本の購読契約、1.3億本以上のオープンアクセスで公開されている学術論文や著作物に及びます(2020年12月時点)。さらに700億以上の現在公開中およびアーカイブ済のウェブページも網羅する膨大なデータベースと照合することで、盗用や剽窃の可能性を検証するオンラインツールです。研究論文や書籍だけでなく、ネット上の情報まで網羅的に検索することで、投稿論文の独自性を検証することができます

学術ジャーナルの検索データベースを使いこなそう
2020-12-23

学術ジャーナルの検索データベースを使いこなそう

共同学術研究や分野をまたいだ研究が増えるにつれ、世界中で行われている重要な研究が迅速に利用できるようになることが求められる中、学術データベースの利便性への要求が高まってきました。論文や学術雑誌(ジャーナル)を探したい研究者は効率よく検索したいと思いますし、研究論文を発表しようとしている研究者は、認知度の高いジャーナル、あるいは自分の研究内容に最適なジャーナルを探し出したいと思っています。主要なデータベースにはインデックス(索引)が付与され、検索しやすいようになっていますが、インデックスの付け方はジャーナルの信頼性、拡散力、評価にとって重要であり、最終的にはそのジャーナルの影響度を示すIF(イン

論文出版が先か、特許が先か、それが問題だ?!
2020-12-16

論文出版が先か、特許が先か、それが問題だ?!

ついに長年の研究の成果がまとまった!やっと今までの苦労が報われる日が来た!となれば一刻も早く研究成果を世に広めたいと思うでしょう。最新の研究論文を書き上げて、トップレベルの学術雑誌(ジャーナル)に投稿すべく執筆を急いでいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。論文の公開を急ぐあまり、特許獲得のチャンスを逃していませんか?最新の研究で得られた発見、あるいは研究で生み出された発明を収益化できる可能性を見落としていないか、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。Publish or Perish(出版か死か)のプレッシャー「Publish or Perish(出版か死か)」と言われるよ

論文の被引用率を上げるための工夫とは
2020-12-14

論文の被引用率を上げるための工夫とは

公開される学術論文の数は増加する一方で、論文を発表したからと言って安心してはいられません。研究者としての評価は、公開論文の質はもちろん本数、さらに該当論文がどれだけ引用されたかにも左右されるのです。引用されることによって、その研究成果を発見し、最初に公開した研究者として認知されます。その上で、膨大な数の公開論文の中からどのぐらいの数の研究者があなたの論文を見つけ出し、引用しているかが、学術的貢献度の目安となるのです。論文が引用されることで、後続の研究者に発見したことを伝え、その成果の上に新たな研究を重ねることができるようにし、結果としてあなたの分野における研究を促進するのに役立てるということで