オープンアクセス・メガジャーナルの魅力とリスク
2018-06-11

オープンアクセス・メガジャーナルの魅力とリスク

インターネットを介してだれもが自由にアクセスすることのできる学術誌(ジャーナル)であるオープンアクセスジャーナルは、伝統的な購読型の学術ジャーナルに比較して、読み手には無料で研究成果にアクセスできるというメリットがあります。また、著者側にも、幅広い読者に研究成果に触れてもらうことができるというメリットがあることから、オープンアクセスジャーナルの果たす役割は大きいと考えられています。 このオープンアクセスジャーナルは、オンラインという特徴から、掲載論文数や刊行頻度に決まりがなく、掲載論文数が増大した結果、大量の論文を掲載する「オープンアクセス・メガジャーナル」の出現につながりました。このメガジャ

今、人気のオープンアクセスジャーナルは
2018-03-07

今、人気のオープンアクセスジャーナルは

出版界の オープンアクセス 化は、学術研究の知名度と影響力を高めると同時に、学術界でタイムリーに知識を広めることに役立っています。2015年に国際STM出版社協会が発表した報告書『The STM Rreport』によると、2014年には、英語で書かれている査読付き学術ジャーナルは28000誌以上、英語以外の言語で書かれている査読付き学術ジャーナルは6400誌以上ありました。そして、オープンアクセスジャーナルのディレクトリを提供するサイトDOAJ(Directory of Open Access Journals)上のオープンアクセスジャーナルの数も、増加の一途をたどっています。123におよぶ国

ジャーナル選択を支援する新たなツール誕生!
2017-07-26

ジャーナル選択を支援する新たなツール誕生!

近年の出版界における紙から電子媒体への急速な移行は、学術ジャーナルの世界にも、かつてない変化をもたらしています。多くの大学関係者、特に若手研究者は、オンライン化で急拡大したジャーナルの選択肢に圧倒されがちです。「自分の論文をよく読んでもらうにはどのジャーナルに掲載すればいいのか」――。これは研究者にとって死活問題であり、オンライン化の進行が、問題の深刻さに拍車をかけています。■ 捕食出版社の跳梁跋扈 研究者を悩ませるのはオンライン化だけではありません。最近では、とんでもない「インチキ出版社」の登場が、学術界で問題視されています。研究者は苦労して仕上げた論文を、できる限り近い専門分野の、かつ研究

相対引用率(RCR)は新たな研究評価の指標となり得るか?
2017-07-10

相対引用率(RCR)は新たな研究評価の指標となり得るか?

学術ジャーナルに掲載されたみずからの論文が、どのような評価を受けるのか。研究者なら誰もがやきもきすることではないでしょうか。現状の評価システムではそれを正しく測定することはできないと考える向きも少なくありません。そんな中、学術界を変えるかもしれない新たな評価指標が、注目を集めています。■ 現状の評価システムが抱える問題 昨今、政府機関の奨学金や連邦補助金の審査においても、査読委員会は研究成果の評価に数理的なアプローチを用いるようになってきました。最もシンプルなアプローチは、論文の筆頭著者および共同著者の被引用数を見ることです。加えて、その論文が掲載されたジャーナルのインパクト・ファクター(掲載

CiteScoreは有用な測定ツールか?
2017-06-22

CiteScoreは有用な測定ツールか?

学術出版大手のエルゼビアが2016年12月、CiteScore™ (サイトスコア) という学術ジャーナルのための新たな評価指標の提供を開始し、話題となっています。これは、ジャーナルに掲載された論文がどのぐらい引用されたか(被引用件数)を示す指標で、研究者にとって自分の論文の影響力を測る目安になるだけでなく、評価にもつながる重要なものです。 ジャーナルの評価指標としてはClarivate Analyticsが提供する「インパクトファクター」が有名ですが(かつてトムソン・ロイターが運営)、そこにサイトスコアというライバルが登場し、インパクトファクターに取って代わることをめざしているのです。■ ジャ

プレプリントを論文の「最終版」に!?
2017-03-23

プレプリントを論文の「最終版」に!?

本連載「生命科学分野は「プレプリント」を導入すべき?」でも以前にお伝えしたように、「プレプリント(preprint)」という習慣が学術界に根づき始めています。 プレプリントとは、ジャーナル(学術雑誌)に論文として掲載されることを目的に書かれた原稿を、完成段階で査読の前にインターネット上のサーバーにアップした論文のことをいいます。プレプリントを登録するというこの習慣は物理学分野から始まり、1991年に設立された「arXiv.org」がプレプリント・サーバーの先駆けとして有名です。2013年には、生物医学分野を専門とする「bioRxiv」も設立されました。 この習慣は、あくまでもよりスピーディな情

インパクトファクターのライバル – Citescore(サイトスコア)とは?
2017-02-03

インパクトファクターのライバル – Citescore(サイトスコア)とは?

ジャーナル(学術雑誌)の影響力(インパクト)を評価する指標として、「インパクトファク ター」が広く知られています。本誌は以前、このインパクトファクターには多くの問題があると指摘されていることを紹介したことがあります。 インパクトファクターとは、簡単にいえば、そのジャーナルに掲載された論文それぞれが過去2年間に引用された回数の平均値です。たとえば、2015年の『ネイチャー(Nature)』のインパクトファクターは41.456です。『サイエンス(Science)』は33.661、『セル(cell)』は32.242です。 12月6日、学術出版の大手エルゼビア社は、「サイトスコア(CiteScore)

生命科学分野は「プレプリント」を導入すべき?
2016-03-30

生命科学分野は「プレプリント」を導入すべき?

プレプリントとは、ジャーナルに論文として掲載されることを目的に書かれた原稿を、完成段階で査読の前にインターネット上のサーバーにアップしたもののことをいいます。物理学分野で始まったといわれていますが、コンピュータ・サイエンスや数学、経済学でも一般的になりつつあります。 2016年2月16日と17日には、メリーランド州にあるハワード・ヒューズ医学研究で、「ASAPbio(生物学における科学出版の加速)」という会議が開催されました。カリフォルニア大学の細胞生物学者ロン・ヴェール教授やロックフェラー大学の神経生物学者レズリー・ボッシャル教授など有力な研究者らが呼びかけたもので、生命科学分野におけるプレ

投稿先ジャーナルの決め方
2015-06-25

投稿先ジャーナルの決め方

英文で発行されている海外ジャーナルに論文を掲載させるためには、論文の内容そのものの質を高いものとすることに加え、ネイティブチェックを入念に行うことも大切です。そのうえで、どのジャーナルを投稿先に選ぶかなど、論文投稿の方法も同じくらい重要です。 オープン・アクセス雑誌の躍進も含め、学術雑誌は多様化の一途をたどっています。そのため、自分の論文に最適な投稿先を探すことは、年々難しくなってきているといってよいでしょう。 対応策としては、まず日頃からの情報収集が求められます。 どんなジャーナルがどんな論文を掲載しているか、また自分の関心のある分野を視野に入れた新しいジャーナルが創刊されていないか、いつも

2015-05-18

「オープンアクセス」の“オープン度”の違い

オープンアクセスの種類インターネット上で公表され、誰もが無料で読むことのできるオープンアクセス・ジャーナル。近年、その存在意義が注目され続けていますが、実は、その「オープン」度にはかなりの差がみられます。今回は、よくあるタイプをいくつかあげてみます。参考文献を探すとき、または自分の論文を発表するジャーナルを探すときに、参考にしてください。1.完全にオープンなもの オープンアクセス・ジャーナルというと、多くの人が想像するのがこのタイプの雑誌ではないでしょうか? 実際に、近年創刊された新しいジャーナルには、雑誌の内容をその巻頭から巻末まで、すべてオンラインで閲覧できるようにしているものが少なくあり

定期購読型とオープンアクセス型ジャーナルの未来
2015-05-18

定期購読型とオープンアクセス型ジャーナルの未来

自分の論文の投稿先を考えるとき、そのジャーナルの現在の知名度もさることながら、将来への継続的な知名度も気になります。そのためか、従来型の定期購読者に配布されるジャーナルと、新進気鋭のオープンアクセス型のジャーナルと、どちらが将来性があるのかという声をよく聞きます。 出版までのプロセスが迅速に行われ、インターネットさえあれば自由にアクセスできるオープンアクセス・ジャーナルは、研究者の時間的負担を軽減し、視野とネットワークを広げるという大きな利点があります。そのため従来型の学会誌の中にも、ジャーナルの一部オープン化や出版から一定の期間を経てのオープン化など、 何らかの形でオープン化を取り入れていこ

国際ジャーナルと国内ジャーナル
2015-05-16

国際ジャーナルと国内ジャーナル

「国際ジャーナルと国内ジャーナルの違いは?」と聞くと、多くの人が「国際ジャーナルは英語の論文が掲載されており、国際的に認められている。対して国内ジャーナルは日本語の論文が掲載されており、国際的にはあまり知られていない。国際ジャーナルのほうが国内ジャーナルよりも名声が高い」と答えます。本当でしょうか?ここで、この2種類のジャーナルの違いについて考えてみましょう。 国際ジャーナルと国内ジャーナルの違いは、その配布先の違いだけです。つまり、仮に日本在住の日本人の研究者から投稿された、日本語で書かれた論文のみを掲載しているジャーナルでも、もしそれが複数の国にまたがって配布されていたら、国際ジャーナルと

いま話題の新しい論文評価指標「オルトメトリクス(Altmetrics)」
2015-01-30

いま話題の新しい論文評価指標「オルトメトリクス(Altmetrics)」

学術論文の影響度を測る指標には、インパクトファクター(Impact Factor)やh指数(h-index)などが知られていますが、近年、「オルトメトリクス(Altmetrics)」という新しい論文評価指標が注目されています。オルトメトリクスは、論文の引用数を反映するだけでなく、論文の閲覧数、ダウンロード数、フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアや報道機関でのコメント数など、論文がもつ影響力のさまざまな面を反映しています。オルトメトリクスはインパクトファクターに取って代わることはできるのでしょうか? 専門家たちに聞いてみました。出版とは本質的にマーケティングそのもの近年、オルトメトリ

論文を投稿するジャーナルの選び方
2015-01-30

論文を投稿するジャーナルの選び方

どんなに一生懸命研究し続けても、その結果が論文として学術誌に掲載されなければ意味はありません。そうかといって、ただやみくもに『ネイチャー』や『サイエンス』のようなトップジャーナルに投稿し続けても、徒労に終わるだけですよね。自分の分野や目的に適したジャーナルを選ぶ必要があるのです。エナゴ英語エディターのウィリアム・スティーブンソンの協力のもと、ジャーナル選びのコツを紹介します。* * *論文の発表は、多くの場合、その研究にかけた努力が頂点に達したことを意味します。現在、論文の適切な投稿先を選ぶというプロセスはいっそう複雑になっています。ジャーナルが激増してきたこと、専門分野が細分化さ

学術雑誌の電子化において検討すべきこと
2015-01-29

学術雑誌の電子化において検討すべきこと

学術雑誌の新設や、既存の雑誌の拡張を計画するとき、インターネット上でも読めるようにするかどうか、多方面から考える必要があります。電子化といえば、読者層を広げられ、査読・編集過程もスピードアップし、ビデオ・データやハイパーリンクなど、従来の印刷形式ではできなかったサービスを提供でき、費用も削減でき……と何もかもバラ色のように思われがちですが、本当でしょうか? ここでは考えられる問題点をいくつか見ていきましょう。1. 読者や査読者が電子化についてこれるか? 動画や音声データの添付など機能が多様化すればするほど、読者や査読者側のコンピュータにもそれらの特殊データを読み取るソフトウェアが必要となります